エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』から現代日本の風潮を分析する
リアル空間での不安が強者への憧れを呼び起こし”愛国心”を駆り立てる。
これが何を意味するのか…”国家”と言う共同体にすがることで自分が”強者”になることを憧れる。
(月よお前が悪いから ■ニュース23、ネット右翼の実態ルポ
http://d.hatena.ne.jp/artane/20051027#p1)
これは重要な指摘です。
エーリッヒ・フロム*1は、『自由からの逃走』において、ナチス台頭時のドイツ国民の心理について詳しく分析しています。
自由でいることに不安になった人々が強い国家と同一化して不安を紛らわそうとする心理。
フロムはこれを“権威主義的性格”と名付けています。
この本の内容を知った上で以下のレポートを読めば、まさにフロムが指摘したことが現代の日本で再現されていることが理解できます。
小泉自民寄りくっきり 20代のココロ(東京新聞)
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/417.html
就職活動中の学生に聞く なぜ自民 (東京新聞)
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/780.html
なぜだ!? 勝ち馬に乗りたがる日本人 [ゲンダイ]
http://www.asyura2.com/0505/senkyo14/msg/787.html
フロムが指摘した“権威主義的性格”はまた“サド・マゾヒズム的逃避”の傾向を持ちます。
相反するサディズム的・マゾヒズム的逃避の両面を持つのです。
国家に対してはマゾヒズム的に奴隷的従順さで従います。
一方、スケープゴートにされた対象にはサディズム的に徹底的に攻撃します。
(多分、このような内容だったと思いますが、何分大分以前に読んだものなので、間違えてるところがあるかもしれません。)
なるほど、そういう観点から改めてネットウヨの行動を観察すると、独裁者小泉や国家というものには奴隷のように従っています。
一方、彼らの敵視する朝日新聞や特定の民族には異常に粘着執着している。
嫌いなら放っておけばいいのに、なぜか朝日新聞や特定の民族の話題を異常に好み、ストーカーしている。
ブログのタイトルにこれらの言葉を使っている連中は多いですね。
フロムは言う。
マゾヒズム的逃避はもちろん、サディズム的逃避も、対象とする相手に依存しているのである。
朝日新聞を批判する連中はまず、朝日新聞にネタを提供してもらっている。
そして、朝日新聞を批判すれば一定の読者がつく。
ブログでは朝日新聞を批判すればアクセスやコメントが増え、読者が増え、ランキングが上がる。
(はてなダイアリーキーワードでも「朝日新聞」でアクセスが一気に上がる。
「朝日新聞」のキーワードで釣られた奴隷マゾヒストの皆様、ご愁傷様です。もう来なくていいよ。)
素人のブログに限らず、プロの出版業界でもそうである。
朝日新聞を批判する本や雑誌を出せば、ある程度の売り上げが期待できる。
まさに、朝日新聞に依存した、朝日新聞におんぶにだっこの売文家達である。
(御用雑誌でリベラルな学者や文化人をを叩けば金が儲かる現代の錬金術について書いた以前の記事
[メディア・リテラシー] まるで言論に対するテロ・弾圧ではないか
http://blog.melma.com/00133342/20050612233924 )
ネット界は右傾化し、朝日新聞や特定の民族の悪口を言う連中がウヨウヨしている。
こんな連中は、フロムが指摘したように、病的な心理状態を持つ連中なのである。
そして、このような連中が“自由からの逃走”“ファシズムへの逃走”を始めるのである。
フロムの『自由からの逃走』は、発行から半世紀を経た今、日本の現代を分析する上で非常に有意義な本である。
しかし、文体は読みにくいし、小さな字が詰まって改行も少ないレイアウトでもあり、一度読んだはずの私でも読み直す気力がない。
もっと読みやすくした新版が出ることを望む。
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野良狸の巣 何故に彼らは政権を批判せずに朝日やNHK等を批判するのだろう
http://norata.at.webry.info/200510/article_25.html
少し前の記事ですが、印象に残っていました。
今回たまたま朝日新聞のことに話題が行ってしまったので、話題が重なると思い、TBさせて頂きました。
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