提灯持ちくんがゆく!RETURNS

【平和と民主主義を考えるための覚え書き】Vol.033 発行部数:44部
  戦時体制に向かいつつある日本。
   同時代に生きる当事者として日々思うことなどを徒然と
    後々の世のために記録していきます。
……………………………………………………………………………………………… 
【提灯持ちくんがゆく!RETURNS】
 
 さて私は以前、以下のエントリーで唐沢俊一氏の“民主主義の名を騙って民主主
義を批判する危険な論法”=“多数決独裁制”について批判したことがあります。

■[覚え書き]“多数決独裁制”に騙されるな 提灯持ちくんを斬る!
  http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20050926/1127723134

 また、これに関連してアンケートを実施し、
「選挙の結果は批判せず受け入れるべき」という唐沢説が圧倒的に少数派であり、
民主体制下では選挙結果を批判する言論の自由は存在する、という意見が大多数を
占めるという、健全な結果を得ています。

■[アンケート]選挙結果を批判することは許されないのか?
  http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20051013/1129559121
 
 ところで私のはてなダイアリーでは、はてなカウンターを導入しております。
 これによって、アクセスが何件来たとか、リンク元はどこかなどということが分かります。
 まあ、あまりアクセス数の多いブログではないことは確かです。残念!
 このアクセス解析の結果分かったのですが、私のブログにグーグルから
「唐沢 民主 主義」で訪れた方がいらっしゃいます。
 そこで逆アクセスすると、例の唐沢氏が続編を書いていたみたいです。

【社会派くんがゆく! RETURNS http://www.shakaihakun.com/data/vol045/main03.html
  Vol.045 人民は弱し官吏は強し(唐沢俊一氏と村崎百郎氏の対談形式です)
 
 見出しがのっけから奮っている。
「民主主義とは衆愚政治である!」
 まあ何もそうムキにならんでも。
  ◇  ◇  ◇ 
 最初は、小泉粛清選挙で悪役とされてしまった亀井静香古賀誠中曽根弘文らの悪口。
 落ち目の人を徹底的に叩いています。
  ◇  ◇  ◇
 それから、参議院廃止論。暴論ですね。
 何で二院制になっているのか、根本のところが理解できていない。
 二院制は民主制をより健全にするための制度上の工夫であり、独裁制を防ぐための
制度であります。
 二院制の意義を理解できないで参院廃止の一院制を主張している人達に民主主義云々といった説教を垂れる資格はあるのでしょうか。
  ◇  ◇  ◇
 次からは、今回の選挙分析。

唐沢●なに言われようが小泉は側近に
「大丈夫だよ、絶対勝つから」って言ってたらしいから。
……しかし、この自信っていったいどこから来るのよ?
村崎▲なにも考えてねえからだろ? 
 だって頭のなかには常にX−JAPANの「フォーエヴァー・ラヴ」が
エンドレスで流れてるだけなんだから(笑)。
唐沢●つまり、キチガイの気迫に完全に押し切られた感じなんだよね、今回の選挙は。
村崎▲このまんまチンタラやってたって世の中変わらないし、どっかで
織田信長みたいなヤツが出てくるのをみんな待ってたんだよな。

から始まるこれ以降の数行、意外と的確で納得できる分析です。
 この選挙分析は使っている言葉は悪いけど、なかなか当てはまっていると思う。
 だからまあ私も、唐沢俊一の意見は全否定しているわけではなく、賛同できる部分もあると。
 しかし次からの部分はいけない。

唐沢●いや、こないだの号外で「民主主義とは国民の半数以上がヒトラーを支持したら、
ヒトラーを代表に選ばなければいけないシステムなんだ」って書いたら、
「唐沢は民主主義がなんなのかわかっとらん」って怒ってる連中がいて(苦笑)、
どっちがわかっていないんだか。
 こういう連中の頭の中にある理想的民主主義ってのは、いつでも自分たちに都合のいい
政治家が勝つ民主主義なんだね。
村崎▲ハア? 民主主義=衆愚政治に決まってんじゃん。
 プラトンの時代から民主主義なんてロクなもんじゃねえってのはわかってるはずだろ?
 何をいまさら(笑)

“民主主義”イコール“衆愚政治”としていいもんだろうか。
 私は、民主政治が堕落した形が衆愚政治だと思っていた。
 そこで、ウィキペディアはてなキーワードを検索。

衆愚政治
 古代ギリシア都市国家アテナイの民主制を評する言葉。
 当時のアテナイでは、扇動政治家(デマゴーグ)に踊らされた一般市民が、陶片追放
オストラシズム)によって有能な人物をも追放してしまうなどしていた。
   http://d.hatena.ne.jp/keyword/%bd%b0%b6%f2%c0%af%bc%a3

 衆愚政治(しゅうぐせいじ)とは、有権者がおのおののエゴイズムを追求して意思
決定する政治状況を指す。
 民主主義を揶揄して用いられる言葉である。
 利益誘導や、地縁・血縁で意思決定をする有権者があとを絶たない状況では、
的を得た揶揄だと思われる。
 プラトンは、民主主義は衆愚政治に陥る可能性があるとして独裁制を主張した。
   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A1%86%E6%84%9A%E6%94%BF%E6%B2%BB

Category:民主主義 (フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』)
  http://ja.wikipedia.org/wiki/Category:%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9
はてなキーワード 「民主主義」の検索結果
  http://search.hatena.ne.jp/keyword?word=%cc%b1%bc%e7%bc%e7%b5%c1
 
 何だかよう分からん。
 学問や専門用語としてはどうなんだろうか。
 
 しかしここでは、民主政治や衆愚政治の言葉の定義について考察するのは本意で
はないので次に行こう。

唐沢●なにか民主主義幻想にみんなとりつかれている。
 社会主義共産主義よりかはマシだから民主主義で仕方なくやってるってだけでね、非常に非合理的だし能率は悪いし、実際の運用からいけばダメダメなシステムなのよ、実は。
村崎▲それをさも「民主主義は万人が平等に暮らせる夢のような世界」ってポジティヴに取り違えちゃってるから、あとで幻滅することになるんだよ。(この発言後略)
唐沢●政治形態そのものに希望も持ってしまうことがそもそもの間違いなんだよね。
 あくまで暮らしやすくしてくれるためのツールで、ダメならどんどん手直ししていこう、ぐらいに考えとかないと。

 確かにこういう考え方もできる。
 しかし、前向きではない考え方である。
 こういったあきらめムードというか、一歩引いた批判的に見る見方というか、
ニヒリズムというかシニシズムというか(自分でも混乱してきて分からなくなってきた)、そんなことを言っているから投票率が低下し、政治不信が
言われ、政治に緊張感がなくなり、政治が悪くなり、ますます政治不信が強まる
という負のサイクルに陥るのである。*1
 まあそもそも、あなた方がこんな後ろ向きなことを言っていることが衆愚政治を助長しているようなもんですね。
  
 それにしても、便利な論法だよ。
「○○とは所詮、こんなものさ」
論法のことである。
 唐沢氏らは今回、○○の中に“民主主義”を入れてみたわけだ。
 ○○を大事に思っている人にとっては腹の立つ論法であるが、○○に対して特に
思い入れのない人にしてみれば、何となく納得させられる論法である。
 今回この応用として、○○の中に“愛国心”を入れてみよう。

 なにか愛国心幻想にみんなとりつかれている。売国奴や自虐心よりかはマシだから愛国心で仕方なくやってるってだけでね、非常に非合理的だし能率は悪いし、実際の運用からいけばダメダメな考え方なのよ、実は。
 それをさも「愛国心は万人が誇りを持って暮らせる夢のような考え方」ってポジティヴに取り違えちゃってるから、あとで幻滅することになるんだよ。
 本音として、現実に各人各々に様々な利害関係があるからこそ、タテマエとして表向き「愛国心が素晴らしい」ってことにしてるのを分かんねえバカがいるとは情けねえなー。
 考え方そのものに希望も持ってしまうことがそもそもの間違いなんだよね。
 あくまで暮らしやすくしてくれるための考え方で、ダメならどんどん手直ししていこう、ぐらいに考えとかないと。

 自分なりに“愛国心”を持つ人は、上のような文章を読めば腹が立つかもしれない。
 こういった論法なんですよ、唐沢流の「○○とは所詮、こんなものさ」論法による
“民主主義=衆愚政治”論法は。

唐沢●反小泉派は「小泉は大衆をバカにしてる」とか言うけどね、言っちゃナン
だけど、大衆って実際、バカなんだから(笑)。
 別に大衆批判するわけじゃないけど、どんな天才が集まろうと100人も集まれば
最大公約数の思想に飲み込まれてバカになる、ってのは社会のメカニズムなんだよ。
 こんなこと言ってるオレたちだって、大衆に飲み込まれたらバカと一緒なんだから。
 そのことをいちばんよくわかってるのがゲッベルスや小泉みたいなヤツらなんだよ。
 まったく、今の政治家がなんでもっとゲッベルスに学ばないか、わからんね。
 あれはたまたま思想がナチスだったってだけで、民主主義政治の場で勝つ方法論
としては最高のテクニックの持ち主なのに。
 これは想像だが、小泉はかなり勉強していると思うよ、ナチス式選挙のやり方。

 何だかコーフンしておられるようです。

村崎▲国民に「民営化、イエスかノーか」の二者択一の判断しかさせないからな。
 で、結局霞が関のクソ官僚の大半に支持されてる小泉が勝っちゃったじゃねえかよ。
 結果的には官僚どもの思惑通りコトが進むんだろうな、茶番劇もいいとこだぜ。
 ホント、星新一の小説じゃないけど『人民は弱し官史は強し』って感じだな。

 星新一の『人民は弱し 官吏は強し (新潮文庫)』は、かなり昔に一度読んだきりでほとんど忘れましたが、こんな対談のタイトルにこのタイトルを持ってくるのは、いかがなものかと。
 この小説は、星新一が父親の星一について書いた伝記小説であります。
 星一が選挙に立候補して、その時の選挙活動の様子なども書かれています。
 星一は選挙民を馬鹿にせず、政策や啓蒙活動中心の選挙活動をしたようです。
 しかし結局選挙では当選できなかったようで、残念ながら“民主主義=衆愚政治”説に
都合のいいエピソードではあります。
 しかし星一のように、やるだけのことをやった上で、
「やはり、“人民は弱し官史は強し”だったなあ」
と言うのなら分かります。
 しかし、この対談のように、努力もせずに、選挙結果を無制限に受け入れて、選挙結果を批判している人を批判したり、「所詮民主主義は衆愚政治よ」などと知ったかぶりをして水をかけるようなことを言っているような人達が、自らの現実追従を正当化するためにこの本を挙げてくるとは。
 アマゾンレビューに書かれていますが、星新一は父親・星一の伝記を冷静な筆致で書いているようです。しかし心の中ではやはり、こんな“人民は弱し官史は強し”の世の中を批判し、改めなければならないと思っているはずです。
 星新一も、こんな文脈でこの本のタイトルを使われるとは思ってもいなかったと思います。
 
 そしてこの対談、これで終わりである。
 えっ、もう終わりなの?
 一番肝心なことについて反論がないじゃないの。
 
“民主主義=衆愚政治”説については、色々な考え方があっていいことで、簡単に
結論がつく問題ではない。
 私が以前書いたブログで批判したのは、こんなことではない。
 明らかに間違っていることを批判したのだが、そのことには全く触れられていない。

■[覚え書き]“多数決独裁制”に騙されるな 提灯持ちくんを斬る!
  http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20050926/1127723134

で私は、「一度決まった選挙結果を批判するのは民主主義ではない」
などと、民主主義を騙って民主主義を批判しているトンデモ説(名づけて、“多数決独裁制”)を批判したのであります。
 
 唐沢氏の「選挙結果を批判するのは民主主義では許されない」という
トンデモ説はこちらから読めます。↓
  http://www.shakaihakun.com/data/extra.html

規定の手続きによって行われた選挙で、自分の希望と反対の結果になったからといって、選挙そのものを認めないとダダをこねるのは、民主主義も選挙制度というものも何もわかっていない北朝鮮と同じではないか。そこらへん、ゲンダイも、ネットで今回の結果をふまえ愚民たちを罵りまくっている自称インテリたちも、民主主義道不覚悟な連中ばかりなのだ。

 だから、この意見こそが、言論の自由によって保障された選挙分析を批判しているんですって。
 野党やその支持者や日刊ゲンダイが小泉を批判するのも、言論の自由で保証されていることです。
 選挙に勝った与党を批判することを許さないという唐沢氏のトンデモ説こそが、
「民主主義も選挙制度というものも何もわかっていない北朝鮮と同じではないか」
なのであります。
  
 民主主義には言論の自由があります。
 批判を認めないのは民主主義ではなく、独裁制であります。
 民主主義が実は衆愚政治だと思い込んでそれを主張するのは構いませんが、
ではあなたの思っている“民主主義=衆愚政治”では、一度決まった選挙の結果
を批判する“言論の自由”は保障されているのかいないのか。
 唐沢さん、あなたの思っている“民主主義”は本当の民主主義ではなく、
本当は独裁制ではないんですか、と批判したのであります。
 
 そして同時にアンケートを実施し、
「(選挙結果を)論じることは批判を含めて民主体制では保障されている」
という意見に何と85%もの投票を得ました。
 選挙結果を批判することを「民主主義ではない」と全く勘違いして批判している
唐沢氏の意見がいかにトンデモかということです。
  
 今回の対談で唐沢氏は「選挙結果を批判するのは民主主義では許されない」
などというトンデモ説については頬かむりして、
“民主主義=衆愚政治”説などという結論のつかない説を持ってきてお茶を濁している。

唐沢●いや、こないだの号外で「民主主義とは国民の半数以上がヒトラーを支持したら、
ヒトラーを代表に選ばなければいけないシステムなんだ」って書いたら、
「唐沢は民主主義がなんなのかわかっとらん」って怒ってる連中がいて(苦笑)、
どっちがわかっていないんだか。

という記述があったのだが、この「怒ってる連中」とは一体誰なのか。
 残念ながら、ほとんどアクセスがない弱小ブログである私のブログは読んでいないようだ。
 なぜなら、私がブログで批判したことについて全く反論していないからである。
 
 まあ、あれだけ著名な人々で、著書やブログも一定の評価を得ている人々である。
 私のような弱小ブログなどは最初から問題外であろう。
 
 私がするべきことは、ブログを少しずつでも更新していって、一人でも多くの人に
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半共分子の独り言 「民主主義」とは
  http://blog.so-net.ne.jp/hankio/2005-10-27
 丁度このエントリーを書いた直前に別の記事にTB頂いていました。

 民主政治(democracy)とは独裁(dictatorship)か? 
 これを「弁証法」で止揚すれば、かっこ良く弁論できるのでしょうが、私にはできません。(汗)
 現在の状態は、私は衆愚政治(mobocracy)ではないかと思います。
 mobは暴力的な群衆のことです。、 mobocracyというのは、民衆(demos)が愚なのではない。
 その背景に、扇動者(agitator)が居る。
 彼が民衆を扇動(agitate)して愚かなmobたらしめ、その力によって、政治を行うことだと思います。

……と、いつもながら含蓄ある指摘です。
 
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  ⇔言及TBありがとうございます⇔
   ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ⇔ ⇔
 匿名_R32さん、いつもありがとうございます。
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独裁が 選挙の後に 待っていた
 民意を正しく反映しない詐欺的選挙制度により、与党は不当に多くの議席を奪い取った。
 
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護憲派サイト共同出版計画
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*1:ここら辺、以前こっぴどく批判したが、 YES! PROJECT の結成動機でもあるだろう。 http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20051005/1128520755