言論の自由と民主主義

 
 朝日新聞素粒子欄による「死に神大臣事件」について、2つの記事を書いてきました。
 
死に神大臣”騒動を言葉狩りで終わらすな
 ■ [キーワード]死神大臣死に神大臣
  http://catchcopy.g.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080621/p1
 ■[メディア・リテラシー]平成版・滝川事件を傍観していては言論の自由は崩壊する
  http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080626/p1
 
 この事件、まだくすぶっているようで、ライブドアニュースでも記事が出ています。
 
朝日新聞、「死に神」表現批判を「厳粛に受け止める」
  http://news.livedoor.com/article/detail/3712999/
「被害者の会」週明けにも再抗議 朝日「死に神」報道に批判とまらず
  http://news.livedoor.com/article/detail/3715426/
 
 ライブドアニュースにはコメントが書けるのですが、書き込まれたコメントを見るとうんざり脱力するようなひどいコメントが並んでいて、私が共感できるコメントはほとんどありません。ここまでコメントの方向性が一方的になるケースも珍しいのでは、というくらいひどいものです。
 このコメント欄を見るにつけ、この件について書かれたブログを見るにつけ、思うことは3つ。
 
1)ネット世論は、自公政権が大好きである。
 自公の政治家が大好きで大好きでたまらないので、自公の政治家を批判・風刺されると絶対に許せない。
(s(・・;) これでは政権が交代できるはずがないわな。)
 
2)ネット世論は、朝日新聞の悪口を書くのが大好きである。
 
3)ネット世論は、死刑制度に積極的に賛成している。
  死刑制度を神聖視し、死刑制度批判をタブー視する向きもある。
(死刑制度が天皇制並みのタブーとなっている)
(なお、ここでいうネット世論とは、上にリンクしたライブドアニュースのコメント欄など、ネット上に代表的に見られる主流派、いわゆるネットウヨクの意見を指す。)
 
 今回はこの3つの要因が重なってネット世論が一方的な熱狂に雪崩を打った。
  
 それにしてもネット世論は、なぜここまで政権の肩を持つのか。政権に肩入れするのか。大臣に好意的なのか。
 思考が大臣と同一化しているのである。
 例えばライブドアニュース
 
法務大臣が法律に則って死刑執行の署名をすることを「死に神」呼ばわりするのは「風刺」ではなく「誹謗中傷」というのではないか? 」
 
というコメントがあります。
 これをそもそも「誹謗中傷」ととらえること自体がおかしいのではないでしょうか。私には理解できません。
 言論の自由があり独裁政治ではないのだから、死刑を実行した法相が「死に神」と言われることくらい、当然の反応なのではないでしょうか。こんなことに激怒して粘着質に怒っている法相のスケールが小さいだけのことである。
 いや、国民も含め日本人全体のスケールが小さくなったというべきか。
 
 もしくは、死刑制度がタブー化されていて、死刑制度を批判するようなことを書くと過剰に反応する反応。
 ネット世論の大きな流れとして、死刑制度の存続が神聖化・神格化扱いとなって、それを風刺すると「不敬だ!」「不謹慎だ!」とヒステリー的に叩く。死刑制度が天皇制並みのタブーとなっているような感じを受けます。
 
 ネット世論が嫌いな中国や北朝鮮が死刑制度を存続していて、アメリカや西欧など先進民主国家が死刑制度を廃止しています。
 死刑制度に限って言えば、ネット世論アメリカや西欧諸国ではなく、北朝鮮や中国と同じ意見なのである。
 いやむしろ死刑制度に限らず、多くの面でネット世論は反民主的であり、北朝鮮や中国のような軍国主義独裁的なのであるが。
(アンケートのコメント欄で半共分子さんから、「なおUSAでは一部の州で死刑が存続しているようです。」とご指摘頂きました。ありがとうございます。)
  
 ともかく、民主政治にとって危機的状況であります。
 権力が権力にとって批判的で都合の悪いマスコミを弾圧することの恐ろしさを分かっていない。
 権力の怖さに対する想像力がないのではないでしょうか。
 
 法務大臣は巨大な権限を持っている。その権限を実行すれば、それに対して批判されたり風刺する意見が出てくるのは民主政治としては当然のことではないでしょうか。
 
 ネット世論はリベラルな新聞だけを攻撃しているが、法務大臣を風刺することがそんなにいけないことなのでしょうか。
 法務大臣を神聖視・タブー視するべきなのでしょうか。
 ネット世論の大部分は、批判を許さない高圧的な法務大臣を不当に擁護している一方で、法務大臣を風刺した一マスコミに対して不当に厳しい見方をしているのではないでしょうか?
 
 こんなことを繰り返していれば、いずれ日本は与党の政治家を批判することが許されない独裁国家になってしまうのではないでしょうか。
 なぜ自ら民主制や言論の自由を捨て、自公政治家を神聖視・タブー視し、国家の奴隷となろうとするのだろうか?
 
 ネットウヨクがいつもの朝日新聞批判の延長で朝日批判をするのは分かります。
 しかし分からないのは、リベラル系といわれているブログが今回の事件をスルーしていることです。
 言論の自由や民主制にかかわる重要なことと思われるのですが、大部分のブログは見事にスルーしている。
 以下のトラックバック・ピープルにも全く出てこない。
  
自民党 トラックバック・ピープル  http://tbp.jp/tbp_9077.html
自民党政治 トラックバック・ピープル  http://tbp.jp/tbp_9149.html 
衆議院選挙 野党共闘! http://tbp.jp/tbp_9134.html
 
 かくしてこの件について書くのはネットウヨク系ブログがほとんどで、ネット上にはハトヤ死に神大臣バンザーイ、言論弾圧バンザーイ、の記事があふれかえっている。
 後世の歴史書ではこの事件について独裁体制に向かう一連の事件と記録され、鳩山法相を「民主体制にとっての死に神」「言論の自由にとっての死に神」となった、と記されることでしょう。 
 
 もうアホらしくなってくる。
 ブログを書くのも嫌になるが、こんな風潮に一矢報いるためにも少しづつでもしぶとく書き続けていかねばならない。
 
 アンケートを実施します。ご協力お願いします。
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朝日新聞素粒子コラムが鳩山法相を「死に神」と表記した件について、どう思いますか。

言論の自由・民主政治の許容範囲内である。
言論の自由・民主政治の範囲を超え、許せない
◆その他(コメントお願いします)
○結果を見る
http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080715/p1

締切:2008年07月14日18時00分
協力:クリックアンケート http://clickenquete.com/
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☆一国の大臣が風刺コラムで「死に神」と風刺されたことに激怒して記者会見を開いた件について

◆民主政治下の政治家としてあるまじき言論弾圧
◆民主政治として当然のことで、許せる行為
◆その他(コメントお願いします)
○結果を見る
http://d.hatena.ne.jp/minshushugisha/20080715/p1

締切:2008年07月14日18時00分
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【ご紹介ありがとうございます】
「ちょっと、よってけらっせん。」−伊東勉のページ。
その125 多数派でなければ、モノ語ってはいけませんか。少数意見が心つかんで、という事もありますよ。
  http://plaza.rakuten.co.jp/benitoh/diary/200807090000/
  
玄倉川の岸辺 死刑は「四審制」
  http://blog.goo.ne.jp/kurokuragawa/e/45460add49a21024e114e76554c05c8c
土曜の夜、牛と吼える。青瓢箪。
■[朝日ネタ][光市事件関連]「あすの会」の抗議は続くよいったい何処まで?
  http://d.hatena.ne.jp/Prodigal_Son/20080703/1215071594
HALTANの日記 ■[今日のマスコミ不祥事報道]08年7月5日(土)
  http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080705/p1
白頭の革命精神@ネタ切れ人民共和国統合不定期更新日記
 類似構造
  http://s19171107.seesaa.net/article/102099873.html
 
【マスメディアとつきあう12の方法】 Quid haec ad humanitatem?
 東海テレビ「光と影 光市母子殺害事件 弁護団の300日」
   http://takeyama.jugem.cc/?eid=962
 
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